第1展示室入口左側に縄文時代の天間沢遺跡(鷹岡天間沢)のジオラマがあります。
このジオラマの左側ケースに展示されているのが赫夜姫遺跡出土の注口土器です。
赫夜姫遺跡は富士市立吉原第三中学校の所にある遺跡で、
いまから3000年くらい前の縄文時代の終わり頃の遺跡です。
この土器は校庭を造るときに発見されたもので、注ぎ口があることから
注口土器と呼ばれています。その形からわかるように、液体を入れて使う土器で、
この頃から全国で造られるようになりました。中に入る液体の量は一合(180cc)程で、
水を飲むときに使うというよりは、お酒を飲むときに使う酒器だと考えられています。
土器は生活様式を表すものですから、この土器が造られるようになった頃から、
縄文人はお酒を造るようになったと考えられます。
▲赫夜姫遺跡出土の注口土器
お酒といってもお米を使った清酒ではなく、
粟や稗などの雑穀を使った「ドブロク」と呼ばれる白く濁ったお酒であったと思われます。
市内では、このような注口土器はあまり発見されていません。
また、全国でもその出土量が少ないことを考えると、
お父さんが晩酌する日常的飲酒の習慣があったというよりは、
儀式のときに使われたと考えられます。また、お酒を造るという事から、
その原料となる雑穀は恐らく栽培されていたもので、
いわゆる縄文農耕が行われていたということになります。