稲垣家住宅は、文化元年(1804)に建築された、年代がはっきると分かるものの中では、市内で現存する最も古い民家です。富士山麓周辺において貴重なこの建物は、明治時代中期に養蚕を行うために兜造(かぶとづくり)の屋根に改造されたとみられています。兜造とは、屋根の形が兜に似ていることからその名がつき、両妻面に窓を開けて通風と採光を図ったもので、小屋裏を広く使うことができます。その他、蚕を保温するための囲炉裏や、その熱が小屋裏へ抜けるように張ったスノコ状の天井板、煙出しのための越屋根など、養蚕農家としての工夫が随所に見られます。
平成21年3月23日に静岡県指定有形文化財に指定されました。