いまから800年前の富士山のふもとで起きた大事件“曽我兄弟の仇討ち”。源頼朝による“富士の巻狩”が開催されているなか、曽我十郎祐成と曽我五郎時致の兄弟が父の仇である工藤祐経を夜陰に紛れて討ちとりました。
“曽我兄弟の仇討ち”は、「曽我物語」という“仇討ちもの”の物語となり、人々に広まりました。「曽我物語」は鎌倉時代から室町時代にかけて成立・発展し、物語から派生した能や幸若舞、浄瑠璃や歌舞伎は“曽我物”と呼ばれ人気を博しました。江戸時代には“曽我物”を題材とした多様な浮世絵版画も出版され、さらに物語の舞台となった富士山の南麓・西麓は、江戸の“曽我ファン”が“聖地巡礼”のために訪れる観光地となりました。
本展示では、“曽我兄弟の仇討ち”をはじめ、その舞台となった“富士の巻狩”、そこにいたるまでの源平合戦の経過を、江戸時代に発行された浮世絵版画や版本を中心にご紹介します。展示をご覧いただき、富士市内の曽我兄弟や源頼朝のゆかりの地へ実際に足を運んでいただけますと幸いです。
( 2025/09/19 更新 )