富士川民俗資料館

桑木野集落周辺の松野地区における農家の一年の暮らしについて紹介する、富士市指定有形文化財です。

展示について

富士川民俗資料館(分館)

屋内に展示されている資料やパネルは、稲葉家住宅があった桑木野集落周辺の松野地区における農家の一年の暮らしについて紹介しています。

ここでは、松野の生活風景を、季節ごとに特徴を示しながら解説し、家具や農具、漁具などの民俗資料を展示しています。

また、急流の富士川における伝統的なモジリ漁や、富士市指定無形民俗文化財に指定されている川供養行事(大北のカワカンジー・木島のナゲダイマツ)、紙の祖とされる古代中国の蔡倫の画像を祀り紙漉き業における取り決めをする講組織「蔡倫講」など、この地域特有の古くからの文化、風習も紹介しています。

囲炉裏の周りには、昭和初期の一般的な農家の生活用具を並べて当時の生活空間を再現しており、昔の暮らしを知ることができます。

沿革

移築前の稲葉家住宅

移築前の稲葉家住宅

移築前の所在地

移築前の所在地

稲葉家住宅は、稲葉家に伝わる過去帳等の記録などから18世紀前期に建築されたと推定され、昭和47年(1972)に現在の場所に移築し、創建当初の状態に復原されました。

稲葉家は、戦国時代後期に南松野桑木野の集落を開拓した一族で、「桑木野の大家」と呼ばれた旧家でした。農業や養蚕を生業とし、明治期からは紙漉きも行っていました。

昭和46年1月 旧富士川町指定文化財に指定
昭和46年10月 稲葉氏から旧富士川町に寄贈
昭和47年3月 移築復元工事完成
平成22年5月 富士市指定有形文化財に指定
平成30年3月 大規模修復完成

特徴

稲葉家住宅の間取り

稲葉家住宅の間取りは、各部屋が田の字型に配された整形四間取りで、松野地区の典型的な農家の住まいをあらわしています。駿河地方における間取りの変遷は明確ではありませんが、稲葉家住宅は整形四間取り民家が出現する早期の事例と考えられています。

富士川民俗資料館(分館)

「ヒロマ」は、大戸(入口)を入ってすぐの部屋で、近所付き合いなど家族が日常の簡単な接客をする場として使用されました。「デイ」は、家の主人が大切な客人の応接や、村の寄り合いなどがあるときのみ使用され、普段は使用しませんでした。「ヒジロ」は、囲炉裏のある部屋で、食事や家族の団らんの場として使用されました。「ナンド」は、主人夫婦の寝室で、プライベートな空間として閉鎖的な造りになっています。「ドマ」は、竈を用いて炊事をしたり、脱穀や藁打ちなどの作業をしたりする場でした。

富士川民俗資料館(分館)

小屋組み(屋根や柱の構成)は、柱が直接梁を支え、その上に桁を乗せる「折置組」と呼ばれる古い形式の架構法を用いているのが特徴的です。

富士川民俗資料館(分館)

屋根の形状は、屋根の流れが四方に注ぐ寄せ棟にわずかに切妻造りを加味し、棟の両端は、小さい排煙窓を設けた変化のある入母屋造りになっています。

概要

富士川民俗資料館(分館)

所在地

静岡県富士市岩淵8-1

開館日

毎週 土・日曜日、祝休日
※12月29日~翌年1月3日は休館

開館時間

夏期(4月~10月)午前9時~午後5時
冬期(11月~3月)午前9時~午後4時30分

入館料

無料

お問い合わせ

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